(東京タワー12)赤く溶けた鉄を使った死のキャッチボール
東京タワーの赤い鉄骨をよく見ると表面にはたくさんの〃いぼいぼ〃があります。この〃いぼいぼ〃を使った建築方法は今の高層建築ではほとんど行われていないそうです。
今では鉄筋同士のつなぎ目には簡単で扱いやすいボルトとナットが使われているそうです。
一方 東京タワーの鉄骨をつなぐ〃いぼいぼ〃造りの職人は一人前になるまでに10年はかかる難しい仕事だったそうです。
そしてその〃いぼいぼ〃造りに欠かせないのが赤く溶けた鉄を使った死のキャッチボールでした。その命がけのキャッチボールの様子をちょっと伺(うかが)ってみましょう
さあ晴れ渡った青空 絶好の野球日和がやって来ました。強風吹き荒れる地上約300メートルのピッチャーマウンドと化した足場にはもう既にびっしりと赤い鉄骨が組まれてました。
そしてその不安定な足場には十分に熱せられた火鉢(ひばち)が用意されていました。ピッチャーはそのとき火鉢の中に長い鉄箸を突っ込みバッターの様子をうかがっているようでした。
そしてピッチャーが振りかぶって最初の一球を放ったすると勢いよく宙を舞うのは なんと800度に燃えた赤い鉄の塊でした。
そしてその赤い鉄の球は10~20メートル離れたキャッチャーが持つ柄のついた鉄バケツに見事に入りました。バッチリど真ん中の完璧なストライクでした。
そしてそのとき投げられた赤い鉄はリベットと言う棒状の釘(※頭なし)でした。バケツでリベットを受け取った職人は鉄骨の穴にリベットを差し込みハンマーで叩き付けます。
このとき打ち付ける力が強すぎたら鉄骨がゆがんでしまうので絶妙な力加減が求められます。
そして打ち付けられたリベットが冷えて固まると鉄骨の表面に見事な〃いぼいぼ〃が出来上がります。
またリベットを投げるほうもちょうどいい温度を目で見て判断しなければなりませんでした。
なんとその危険な作業をタワーが完成するまで28万回も繰り返したそうです。そしてそのとき使用したリベットの数は なんと16万8千本にもなったそうです。
さらに夏場の鉄骨は40~50度にもなるそうです。まさに現場は灼熱地獄でした。
ーーーーーーーーーこのあと なんと東京タワーが鉄塔から木造建築の塔へと変貌を遂げます。つづきをどうぞ
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